行事解説
お施餓鬼
六道輪廻のうちの一つである
「餓鬼道」に堕ちて、飢えに苦しむ「餓鬼」に、
食べ物や飲み物を施し、苦しみから救うことを
目的とした行事を施餓鬼(せがき)と言います。
「餓鬼」とは、常に飢えに苦しむ者とされます。
たまたま食べ物を得て、それを口に入れようとしても、
口から炎を吐いているため、食べることができず、
また、喉が針のように細くて
飲み込むことができないとされています。
餓鬼に食べ物・
飲み物を施すことによって
生じる「功徳」を先祖に振り向け、
供養するという意義で、浄土宗寺院の多くでは、
この「施餓鬼」という行事が盛んに行われています。
元々、この行事は、
『救抜焰口餓鬼陀羅尼経』
というお経の逸話により起こったと言われています。
そのお経にはこのように述べられています。
ある日、お釈迦さまの弟子である「阿難」が
瞑想修行をしていたところ、
喉が針のように細く、口から炎を吐いた、
恐ろしい姿の餓鬼が現れ、
「すべての餓鬼に飲食を施して供養しなければ、
おまえの命は三日後に尽き、餓鬼道に堕ちるであろう」
と告げられます。
阿難がお釈迦さまに餓鬼の供養方法を請うと、
お釈迦さまは教えを授けました。
その教えとは、ある呪文(変食陀羅尼)を唱えれば、
少量の飲食を無限大に変じることができ、
餓鬼に飲食を施すことができる、というものでした。
阿難が教えに従ってその法を修したところ、
餓鬼は苦界から救われ、阿難自身も
その「功徳」により長寿を得たとされています。
このような「施餓鬼」の様子は
国宝「餓鬼草紙」にも
描かれています。
以下のグーグル美術館サイトでは
解説付きで「餓鬼草紙」を閲覧できるので
ぜひご参照ください▼
現在、この「施餓鬼会」は
大昌寺の年中行事の中で最も盛大なものです。
浄土宗八王子組の十ヶ寺の御住職を
お迎えして厳修されます。
どなたでも参加可能なので、
ご自由にご参拝ください。